第36回東京モーターショー (2002年) はじめに
平成14年10月29日 第36回東京モーターショー 開幕の日
平成14年10月29日 東京大気汚染訴訟第一審 判決
かねてから数多の人々により指摘されてきたように、自動車が及ぼす環境への影響には重大なものがあることは論を待たない。
そのため、年を追うごとに排出ガスへの規制は厳しくなった。'70年代には、排出規制適合デバイスのためにエンジン出力がかなり下がったと聞く。
また、ちょうど10年前には大都市圏を対象にかのNOx法が制定され、旧い車を持つことを断念せざるを得なくなった人もいる。
従来の排出ガス規制は既存の車を使い続ける分には全く関係なかったのだが、NOx法では使用過程車も対象となるので、対象となる車は決められた日以降使えなくなってしまう。
数年前のニューイヤーミーティングにおいて、「くたばれNOx法」とデコレート≠ウれた三輪トラックがいた―雑誌で見ただけであるが―ことを思い出す。
そのNox法が先般改正され、自動車NOx・PM法となった。従来は対象ではなかったディーゼル乗用車も対象となるなど、強化されている。
役所によれば、「既存の車を使い続けるのと、NOx・PM法に適合した新車に代替するのと、どちらの方が環境への負荷が小さいかは検証していない」そうである。大気汚染のことだけを考えれば、NOx・PM法のアプローチはまあ正しいのだろう。【追記:既存の車を新車に代替させるという政策的アプローチは正しいと思うが、一定の年限を定めて強制的に使えなくする、というやり方は容認できない。なぜならば、憲法に謳われている財産権の保障に反すると考えるからである。】
自動車、特にNOx・PM法で主に対象となるトラックやバスは、機械≠ニして考えれば効率的な運行と低コストが求められ、減価償却などを考えながら定期的に代替される運命にあろう。そうならば、NOx・PM法は代替サイクルに影響を及ぼすだけ―企業の資金繰りの話はさておき―である。しかし、自動車はただ効率や電卓の計算だけで走っているとは思えない、思いたくない。周りの人々―メーカー、所有者、利用者など―の想いという、理屈では割り切れない、計算できないものをも載せて走っているのである。そして、先ほどのようなオート三輪や4WD車などには、ファンが趣味で保有しているケースが多々ある。そのような車まで一律に考えられてしまうと、なんだかやりきれない。
今回のモーターショーで救われたように感じたのは、新しい企画としてヴィンテージ商用車コーナーが設けられ、'20年代から'70年代までの商用車が展示されたことと、日野自動車ブースに昭和41年式BH15型ボンネットバスが展示されていたことである。普段は光を当てられる機会が少ないこのような昔の商用車に、これを機にもうちょっとでも光が当たれば……と考えながら、はたらくくるま¢蜊Dき人間は会場を回っていた。
手前右側の大型トラックが日野TH17型、右側が日産ディーゼル6TW12型。「ヴィンテージ商用車コーナー」という看板の下は戦前の円太郎バス。
その向こう側には、トヨタ自動車、日野自動車、ダイハツ工業のブースが見える。